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007

おすすめの写真集①

 

「どうやったら写真がうまくなりますか?」

 

たまにこう聞かれると焦ってしまう。

なんて難しい質問なんだ!

 

「では、一丁カメラを置いてみてはいかが?」

 

なんて答えたりしています。

聞いた人はきっと釈然としないはずです(笑)

 

例えば花火とか工場夜景とか水族館とか、

セオリーとしてこう撮るといいよ、と

ネットや写真教則本にはHow Toが記されてます。

 

花火なら、Mモード、ISO100/絞りf11/SS  BULB

この設定で撮ると綺麗に撮れるから安心です。

 

確かにこれは正解なのだけど、

そもそも「どんな写真を撮りたいか?」を

想像する楽しさが、抜け落ちてる気がします。

 

ゲームの攻略本を見ながらプレイしたら、

ちゃんとゲームクリアできちゃう感じ。

 

例えば、三脚を花火と逆側に振ると

花火を見る人々の顔は輝いてるはずだし、

花火を打ち上げる職人のおっちゃんや消防士は

激アツな被写体なはずだ。

(撮影可能かどうかは別として)

 

被写体に対峙した時どう撮る考えることも、

写真の醍醐味なんじゃないかなと思うのです。

 

要は誰かが決めた正解ではなく、

自分の中に正解を持つこと。

ぼくはそういう写真に感動します。

 

では、そもそも「いい写真」ってなんでしょうか。

 

心に響く写真?正しく情報が伝わる写真?

愛情ある写真?かわいく撮れてる写真?

 

目的や、扱う人によって

「いい写真」の概念は変わります。

 

例えば目つぶりでも、WBが正しくとれてなくても、

ブレてもピンぼけでも「いい写真」はある。

 

面白いのは、スキルや知識があることと

「いい写真」はイコールじゃないってこと。

 

カメラの扱いを知らない、おばあちゃんやこどもでも、

プロ顔負けの写真が撮れたりする。

 

先日生徒さんが教えてくれた

大阪のNPO団体が運営するwebサイト↓

 

Homedoor

 

カメラマンはホームレスのおっちゃんたち。

彼らに写ルンですを渡し、写真を撮ってきてもらい

その写真を販売するという取り組みのようです。

 

おっちゃんたちはきっと写真の素人だ。

でも、この写真をセレクトしている人は

写真を知っている人(見る力のある人)ですね。

「いい写真」を判断できるようになるには、

見る(インプットする)力が必要です。

 

写真の歴史を学び、建築・美術に触れ、

恋をしたり、映画や本を読んだり、

価値観を共有し、美しい風景に出会うこと。

 

そういった人間の基本的な、

本質的な部分を磨くこと。

 

思考や体験を重ね、感覚を研ぎ澄ませるによって

見る力は一層、深化してゆくと思います。

 

面白い人の写真はユニークだし、

センスのよい人の写真はかっこいいし、

思考の浅い人の写真はどうしたって薄っぺらくなる。

 

写真は嘘をつけない。

 

それで、冒頭の文章につながります。

いい写真を撮りたいなら答えはカメラの外側にある。

 

誰でも綺麗に?撮れる時代だからこそ、

写真の良し悪しは、シンプルな人間力勝負になる。

「誰が撮ったか」が重要なのです。

 

オリジナルの特徴やキャラクター、思想、

価値観を持つ人が写真家です。

誰でも扱えるカメラで生計を立てる。

写真家という職業の凄み。

 

僕は、写真家をとても尊敬しています。

<ヴォルフガング・ティルマンス>

 

前置きが長くなったけど、今日のテーマは

みなさんにご紹介したい写真集の話。

 

コンセプトやテーマ、思考を深く掘り下げ、

時間とお金と、時には命をかけて

写真家たちが制作したものが写真集です。

 

幸運なことに私たちは「写真家たちの目」を

手元におくことができるのです。

 

僕も、若い頃はご多分にもれず、

森山大道や藤代冥砂、浅田政志、佐内正史に憧れ、

今も好きな写真家はたくさんいますが、

久しぶりに心臓を撃ち抜かれた写真家がいます。

 

いまさらですが、僕は奈良原一高に夢中です。

 

様々なシリーズの中でも、肖像写真が特に好きです。

 

IMA奈良原一高「肖像の風景」展

 

↑島根県立美術館での写真展で衝撃を受け、

「時空の鏡」という写真集を手に入れたのですが、

星新一さんを撮影した組写真↓痺れました。

 

MEMORIの写真集コレクションにあるので、

興味がある人はぜひご覧ください。

 

 

みなさんは好きな写真家、いらっしゃいますか?

 

そんなお話を山ほどしたい、今日この頃。

明日、写交場「スナックピンぼけ」で♡

 

長話にお付き合いいただき、

ありがとうございました。

 

それでは、また来週。