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009

モノマネのすヽめ(宿題の話)

 

新しいカメラを買いに東京へ。

2Hだけの滞在、往復12時間のドライブ。

 

モノを購入する時はストーリーもセットの方が

きっといいはず、という安直な発想です。

 

お仕事の都合でとんぼ返りでしたが、

せめて東京タワーだけはと、

芝公園近くに車を止め、息を止めて手持ちで10カット。

 

写真学校入学前、19歳で初めて買った

ニコンF3以来の、相棒と呼べるカメラかもしれない。

 

不覚にもカメラに名前つけたりして(笑)

 

以上、カメラ買ったよ♡という今週の近況報告。

(カメラの話は改めて書きます)

 

今日は僕の写真教室の”宿題”についてのお話。

4月からスタートした13期生の写真教室も4回目。

生徒さんのキャラクターも少しずつ見えてきました。

 

奈良校は入江泰吉記念奈良市写真美術館へ。

6月の授業は写真展鑑賞です。

 

写真家・瀬戸正人『旅しないカメラ』

(なんと田村の写真学校時代の先生!)

 

展示はシリーズごとに分類されていたので、

写真家の取り組むテーマがわかりやすく、

生徒さんにとっても、よい勉強の機会となりました。

 

僕は、台湾のビンランを売る女性たちを撮影した

写真集「binran」を購入しました。

 

MEMORIに置いておきますのでぜひご覧ください。

「写真上達に近道なし!

アウトプットと同じくらいインプットが大事だよ」

と生徒さんにはいつも話していますし、

こういったカリキュラムに時間を割くのも

ぼくの写真教室の特徴です。

 

インスタグラマーの写真もいいけど、

プロの写真家の存在を、一般の方や若い人にも

もっと知ってほしいと常々思っています。

 

一口に写真家と言っても、

概念の可視化、アート、報道、ファッション。

選ぶテーマや被写体、アプローチも様々です。

 

写真に対する考え方が変わったり

新しい視点を獲得したり。

写真家から学ぶことがたくさんあります。

 

写真の歴史や時代背景を知り、

生徒さんともっと写真を語り合いたいのです!

07のブログでも書いたように

「写真を見る力」こそ重要だと考えます。

 

写真を分解し、その構造を多層から

立体的に把握できる感性を育む訓練。

見る力がつくと、自分で撮る写真の

純度は研ぎ澄まされ、深度が増します。

 

それが例え日常のスナップだとしても、

このプロセスは欠かせないと思う。

 

だから「いい写真とは?」の答えは、

カメラを置いて考える必要があるかもしれない、

というものでした。

 

それを実践する機会として、生徒さんには

毎月宿題に取り組んでもらっています。

 

全クラス同じテーマで写真を撮り、

その写真を持ち寄り見せ合うことで

インプットとアウトプットを同時に行う。

 

(写真を見せ合うことを講評と呼んでいます)

この講評こそ写真教室で最も大切な時間といえます。

 

ということで。

 

写真展鑑賞のあとは場所を移して、

13期生のみなさんにとって初めての写真講評。

 

6月の宿題のテーマは

「ハイキーローキー/組写真2枚」

 

前回の授業で学んだ露出補正の機能を使って、

ハイキー(明るい写真)とローキー(暗い写真)

に適した被写体を選び、撮影。

また、それぞれの写真を組(グループ)にして

タイトルをつけて完成、という課題です。

 

特に「2枚の写真に関連性を持たせる」

ところが難しいですね〜。

 

初めての組写真に挑戦したにもかかわらず、

それぞれよく考え、落とし込んでくれました。

 

↓生徒さんたちが宿題の写真を見てるところ。

レンズが50mm(撮影できる範囲が47°)なので、

みなさんの撮った写真が全然写ってないけど笑

今回は宿題の写真はお見せできませんが、

今後は生徒さんが撮影した宿題写真も、

このブログでも紹介していきたいなと思ってます。

お楽しみに!

 

そして、次の課題発表!

7月のテーマはずばり、「マネマネ写真」です。

 

写真家(美術家)の名前が書かれたくじを

生徒さんに引いていただき、

その写真家のマネをするという宿題。

 

今年は以下の写真家たちが師匠となります。

 

アンリ・カルティエ=ブレッソン、浅田政志、

荒木経惟、植田正治、梅佳代、

川内倫子、川島小鳥、佐内正史、

杉本博司、HIROMIX、藤代冥砂、

ホンマタカシ、森村泰昌(50音順)

 

生徒さんは、引き当てた写真家を徹底的に調べ、

写真集の中から一番惹かれた写真を1枚選び、

完コピしてくるという宿題です。

 

この「完コピ」こそがポイントなのです!!

 

例えば光の向き・強さ・質の違い、

使用するレンズの画角の違いに気付いたり、

「お、このシーンだとカメラを構える体勢辛い!」と

写真家の思わぬ苦労がわかったり(笑)

 

写真家がなぜそのテーマを選んだのか、

そこにも思考が届くかもしれない。

 

中には写真家が憑依する生徒さんもいて、

例えば梅佳代の新作写真集とか作ってくる(笑)

 

偶然引き当てた写真家を調べていくうちに、

その写真家を大好きになったりすることも。

 

そうなってくれたら嬉しいなあ〜!

ここで、昨年の生徒さんの写真をチラ見せ。

現在中級クラスに通う寿円(じゅえん)さんの作品。

 

彼女は荒木経惟さんを引き当てました。

かの有名なアラーキーです。

 

断片の情報しか知らない方は

「あのエロカメラマンの?!」と

反応する人もいるかもしれませんが、

とんでもありません。

 

日本の写真史に多大な影響を与えた

世界に誇る偉大な写真家です。

 

数多くの写真集を出版されていますが、

彼女が選んだ写真は「センチメンタルな旅・冬の旅」

冒頭に出てくる写真から↓

 

元写真

 

著作権の問題で写真を貼ることができないので、

リンクから元となる写真をぜひご覧ください。

 

寿円さんが撮影した写真がこちら↓

よくぞここまで。まさに「完コピ」。

 

お母さんにモデルをお願いしたそうですが、

この1枚のために特急電車に乗り、

柄の似たワンピースを用意し、

なんと髪も切ってもらったそうです!!

 

寿円さんの執念を感じる。たかが宿題、されど…。

 

「ちょっとめんどくさいな。」

「やりたいけどお金かかるしなあ」

「お願いして断られた嫌だし。」

でも、だって。。。(笑)

 

たぶんそういったネガティブな気持ちを

上回る「表現したい!」という欲求。

 

このハードルを超えてくれると

何かおもしろいことが必ずおこるし、

見るものを感動させてくれる!

 

寿円さんがこの写真をプレゼンした時、

生徒さんから歓声があがったのを覚えています。

 

どんな著名で偉大な人々も、

みなコピーからはじまるのです。

 

オアシスも奥田民生も

ビートルズに多大な影響を受けてるし、

マラドーナやジダンのテクニックを

世界中のこどもたちがマネをした。

 

憧れの対象をつくり、

マネることからはじめてみよう。

好きな写真家と同じカメラを使うのも

テンションあがるよ!

 

そういえばカメラも、ギターや野球道具みたいに

〇〇モデル、みたいなのあってもいいのに。

 

森山大道モデルのGRとか、

石川直樹モデルのプラウベルマキナとか。

 

写真家がこどもたち憧れの職業になり、

写真で新しい文化を生み出す若者が

日本からもどんどん出てきてほしい!

 

そのためにぼくは写真集を買い続けるし、

写真家の魅力を啓蒙し続けます!笑

 

写真家になるぜ!っていう若者も、

ぜひMEMORIまで会いにきてください。

 

ではまた来週、ごきげんよう。